随筆

隙間

不在

感動的でもなんでもないような小説の一場面で、涙が止まらなくなって、ああ、これが。と思った。
2022.02.09
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文章記録

“ つらい時期が多めの人生 ”というのは、私がこれは日記ではないと言い張っている「文章記録」を読み返していた時に見つけた表現だ。見た目は日記と見分けのつかないそれは、しかし日記ではなく、感じたことを感じたままに書き記す文章記録なのだ。
2022.06.04
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冥王星

冥王星が惑星から外されたのは、2006年のことだったかな。当時10歳だった私は、どってんかいめいが、どってんかいになったことに、漠然とした哀しみを覚えた。最初は惑星だと考えられていたものが、突然実は違いました、今日からは惑星ではありません、と定義づけられるなんて。
2022.06.04
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多くの人が何でもないような顔をして街を歩いているように見えるけれど

顔を上げると目の前には何事もなかった時と同じように、机があって、マグカップがあって、本があって、何の憂いもなかったあの時に買ったお茶のセットなんかがあって、まるでそれまでと何も変わっていないかのように見えるのに、そうではない。
2022.02.05
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白いピアノの夢

白いピアノが欲しいと思って、学生時代にアルバイトを始めた。実家にあるアップライトピアノのように立派なものとはいかなくとも、あせた白色をした木目調の電子ピアノに、気に入ったのがあった。2歳から始めたピアノは、たしか12歳の途中ごろに辞めた。それからは、心の動いた曲を好きな時に好きなだけ弾くようになった。ピアノなら、何時間だって、生活を忘れて弾いてしまう。
2021.12.10
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【mångata】モーンガータの意味。スウェーデン語で水面にうつった道のように見える月明かり

mångataはスウェーデン語で、水面にうつった道のように見える月明かりを意味する。ふらりと立ち寄った書店で、目に留まった本を買って帰るのが好きだ。特定の欲しい本があるわけではなくても書店へ行くのは、読みたい本と出会うためだ。積読は多いが、出会ったときのことは1つひとつ覚えている。先日、素敵な本を見つけた。『翻訳できない世界のことば』という1冊だ。
2022.01.07
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本を読むときのこと

小説を読んでいて、その一区切りのところまでたどり着いたとき、そこに書かれてある「2」という数字を見て初めて、自分が今まで「1」を読んでいたのだと知る。そうして、初めのページに戻ってみると、確かに「1」とある。しかし、最初に読み始めたときにはそのことに気が付いておらず、いつも決まって「2」を目にしてから、ページを振り返ってみることになるのだ。
2022.02.10
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