|本を読むときのこと
小説を読んでいて、その一区切りのところまでたどり着いたとき、そこに書かれてある「2」という数字を見て初めて、自分が今まで「1」を読んでいたのだと知る。
そうして、初めのページに戻ってみると、確かに「1」とある。しかし、最初に読み始めたときにはそのことに気が付いておらず、いつも決まって「2」を目にしてから、ページを振り返ってみることになるのだ。そうして「1」を見つけて、安心するのだ。
どうしてだろう。なぜかいつも、最初には気が付くことができない。もう何度も何度も、本を読むたびに私はそんなことを繰り返している。いつか、ちゃんと「1」というのを見てその存在に気が付き、「2」を見ても「1」を確かめなくなる日がくるだろうか。
どちらでもいい。
本を読んでいるとき、考えるほどでも、言葉にするほどでもない、それでもよぎるささいなことを、かたちにしてみただけだ。
きっと、いつも感じてはいるけれど大したことではなくて、ともすれば忘れてしまうような、日々の隙間のことを。
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