|白いピアノの夢
白いピアノが欲しいと思って、学生時代にアルバイトを始めた。
実家にあるアップライトピアノのように立派なものとはいかなくとも、あせた白色をした木目調の電子ピアノに、気に入ったのがあった。
2歳から始めたピアノは、たしか12歳の途中ごろに辞めた。それからは、心の動いた曲を好きな時に好きなだけ弾くようになった。ピアノなら、何時間だって、生活を忘れて弾いてしまう。
結局まだ買っていない。
白いピアノのために貯め始めたお金はまだ口座に眠っていて、いつしかそれは会社を辞める時の資金にしようと思うようになった。そうして、予感していた通りにその時がやってきて、会社を辞めると独立した。今はピアノどころではない。
だから、私は夢をえがき続けることができるのだ。いつか白いピアノを買う、その日まで。ずっと
KAWAI CA49
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